お中元は、日本の伝統的な贈答文化のひとつとして、親しい人々やお世話になった方々に感謝の気持ちを伝える大切な習慣です。しかし、お中元をいただいた際にどのようにお礼を伝えるべきか、悩むことも少なくありません。
本記事では、お中元のお礼状の基本的な書き方や送るタイミング、注意すべきマナーについて、文例を交えて詳しく解説します。これを読めば、誰にでも自信を持ってお礼状を書けるようになるはずです。
目次
お中元のお礼状とは?基本のマナー
お中元のお礼状とは、お中元を贈られた相手に対して、品物を受け取ったことの報告と感謝の気持ちを伝えるための手紙です。
お中元をいただいた際には、感謝の気持ちを込めてお礼状を書くことを忘れないようにしましょう。また、お中元のお返しは基本的に不要とされています。お返しをせずにお礼状のみを送っても問題ありません。
お中元のお礼状を送るタイミング
お中元のお礼状は、お中元が届いたあと、できるだけ早く出すのがマナーとされています。具体的には、品物が届いてから3日以内にお礼状を投函し、遅くとも1週間以内には相手に届くように心がけましょう。
もし、なんらかの理由ですぐにお礼状を出せない場合は、まず電話やメールで「品物が無事に届いたこと」と「感謝の気持ち」を伝えておきましょう。そのあと、改めてお礼状を出すことで、マナー違反にならず、丁寧な対応だと感じてもらえます。
また、自分からもお中元を贈りたい場合には、お礼状を添えて送るとよいでしょう。自分からお中元を贈る場合も、お中元が届いたあと、遅くとも1週間以内には相手に届くように手配します。
お中元のお礼状の形式
お中元のお礼状は、基本的な構成を押さえて書くことで失礼のない内容になります。
お礼状の基本的な構成は以下のとおりです。
- 頭語
- 時候の挨拶
- 健康・安否を尋ねる内容
- 感謝の言葉
- 健康や息災を願う言葉
- 結語
- 差出人と日付
お礼状を書く際には、一般的に頭語や結語を使用しますが、使用する頭語と結語は送る相手によっても異なります。頭語と結語の相手別例を紹介しますので、相手との関係や内容に合ったものを選んでください。
用途や相手別の頭語と結語は、以下の表を参考にしてください。
用途や相手 | 頭語 | 結語 |
---|---|---|
ビジネス | 拝啓・拝呈・啓上 | 敬具・敬白・拝具 |
目上の人 | 謹呈・謹啓・恭敬 | 謹白・謹言・敬白 |
親しい人 | 前略・冠省 | 草々・不一 |
時候の挨拶では、手紙を書く時期に応じた季節の挨拶を入れましょう。たとえば、夏の時期であれば「盛夏の候」や「酷暑の折」といった表現を使います。
時候の挨拶のあとには、相手の健康や安否を尋ねる内容を続け、感謝の言葉を述べます。そして、最後に、相手の健康や幸せを願う言葉で締めくくり、日付と差出人の名前を記入します。
健康・安否を尋ねる内容では、「いかがお過ごしでしょうか」「益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」などの文言を入れるとよいでしょう。
お中元のお礼状を書く際の注意点
お中元のお礼状を書く際には、いくつか気を付けておくべき注意点があります。注意点を知っておくことで、相手に失礼のないお礼状を書くことができるでしょう。
まず、お礼状は可能であれば手書きが理想です。手書きの文字は温かみがあり、相手に対する気持ちがより強く伝わります。筆記具は毛筆が望ましいですが、ボールペンや万年筆でも問題ありません。一方、鉛筆やシャープペンシル、水性のカラーペンで書くことは避けてください。これらの筆記具は、正式なお礼状にはふさわしくないとされています。
また、お礼状の用紙にも気を配りましょう。縦書きの封書が最も丁寧で一般的ですが、親しい関係の相手にはハガキでも構いません。しかし、ビジネスシーンや目上の方へのお礼状には、封書を使うのが無難です。
季節の挨拶例
お中元のお礼状を書く際には、季節に合わせた挨拶文を取り入れることで、手紙全体に季節感を持たせることができます。
以下に、お中元シーズンの7月と8月に使える季語や季節の挨拶文例をいくつかご紹介します。
【7月の挨拶例】
季語:七夕、盛夏、大暑、酷暑、猛暑、炎熱、炎夏、灼熱など
挨拶文例:
「盛夏の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。」
「暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。」
【8月の挨拶例】
季語:厳暑、晩夏、暮夏、残夏、立秋、残暑、残炎、処暑など
挨拶文例:
「残暑お見舞い申し上げます。」
「暑さもひと段落し、過ごしやすい季節となりました。」
また、親しい間柄の方へのお礼状では、堅苦しすぎない季節の挨拶文を書くとよいでしょう。カジュアルな表現を取り入れることで、相手に対する親しみやすさを伝えることができます。
カジュアルな季節の挨拶文例:
「暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。」
「うだるような暑さが続いていますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
季語や挨拶文例を活用して、季節感あふれるお礼状を作成し、感謝の気持ちをしっかりと伝えていきましょう。
相手別|お中元のお礼状の書き方と文例集
お中元のお礼状は、相手との関係性に応じた書き方が求められます。ビジネスシーン、両親や親戚、そして友人など、それぞれの相手に対して適切な表現やマナーを守りながら、お礼状を作成しましょう。
ここからは、相手別のお礼状の書き方と具体的な文例を紹介します。
ビジネスシーンで使えるお中元のお礼状の書き方
ビジネスシーンでのお中元のお礼状は、相手企業との関係を考慮し、適切な言葉遣いを用いることが大切です。親しい担当者であっても、カジュアルな文面は避けましょう。
また、かしこまった文章や、初めてお礼状を送る相手には、「拝啓・敬具」よりもさらに丁寧な「謹啓・謹白」を使用するのが望ましいです。会社や部署宛に送る場合は「〇〇御中」、個人宛に送る場合は部署名や役職名を明記したうえで、「〇〇様」と記載します。
ビジネスシーンでは、封書を使用するのが適しています。
ビジネスシーンで使えるお中元のお礼状の文例
株式会社○○ 代表取締役 ○○○○様 拝啓 盛夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。 さて、このたびは、心ばかりのお中元を贈呈いただき、誠にありがとうございました。 いつもながらのご厚情に、社員一同心より感謝しております。 今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 敬具 令和〇年〇月〇日 |
両親や親戚に送るお中元のお礼状の書き方
両親や親族に対してお礼状を書く際には、少しカジュアルで和やかな文章を使っても問題ありません。特に、いただいた品物に関するエピソードや感謝の気持ちを具体的に述べると、より親しみやすい手紙になります。
家族間でのやりとりでは、あまり堅苦しくならないようにするのがポイントです。
両親や親戚に送るお中元のお礼状の文例
前略
暑さも本番を迎えたばかりですが、お二人はお元気でお過ごしでしょうか。 このたびは、美味しい果物のお中元をお送りいただき、誠にありがとうございました。家族全員で美味しくいただきました。特に子どもたちは、「おじいちゃん、おばあちゃんからのプレゼント!」と大喜びでした。 いつも私たち家族のことを気にかけてくださり、心より感謝しておりま す。これからもお二人の健康を心よりお祈りしております。また近いうちに会いに伺いますね。 草々 ○○より |
友人に送るお中元のお礼状の書き方
友人や知人に送るお中元のお礼状は、カジュアルな文面でも問題ありません。ただし、感謝の気持ちをしっかりと伝えるために、丁寧な文言を心がけましょう。
また、いただいた品物に関するエピソードや感想を加えるのもおすすめです。
友人に送るお中元のお礼状の文例
前略
初夏の候、○○さん、お元気にお過ごしでしょうか。 先日は素敵なお中元をお送りいただき、本当にありがとうございました。早速、先週末に家族で乾杯しながら楽しみました。おかげさまで、特別な週末を過ごすことができました。 最近は忙しくてなかなか会えていませんが、こうして気持ちを寄せていただき、とても嬉しく思います。近いうちに一緒に飲みに行きましょう! ○○さんのご健康とますますのご活躍を心よりお祈りしております。 草々 令和〇年〇月〇日 |
まとめ | お中元のお礼状で感謝を伝えよう
お中元のお礼状は、贈りものをいただいた相手に感謝の気持ちを伝える大切な手段です。ビジネスシーンや目上の方へのお礼状では、形式やマナーを守って丁寧な文章を心がけることが重要です。また、両親や親戚、友人など親しい間柄の方には、少しカジュアルで温かみのある言葉遣いで、お礼の気持ちを伝えるとよいでしょう。
季節の挨拶や文例を参考にして、ぜひ相手に感謝の気持ちをしっかりと伝えるお礼状を作成してください。